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テクノロジー

EMR®テクノロジー(Electro Magnetic Resonance technology, 電磁誘導授受方式)

EMR®テクノロジーによって実現された「ペンタブレットデバイスのデファクト・スタンダード」

ワコムのペンタブレットデバイスの外観上の特徴は、邪魔なコードを必要とせず重たい電池も内蔵しないスリムで軽量な電子ペンと、自由多彩な組込加工を可能にする完全非接触型のセンサーボードの存在です。それらはワコムが独自に開発した「EMR®テクノロジー(Electro Magnetic Resonance technology, 電磁誘導授受方式)」によるものです。

EMR®テクノロジー以外の電磁誘導式ペンタブレットデバイス

EMR®テクノロジー以外の非接触型ペンタブレットデバイスの多くは、タブレット上のペン座標を検出するために、ペン側の回路に信号を発生させるなんらかの電源が必要です。コードで給電するものやバッテリーを内蔵したものなどがありますが、コード式のものはコードが邪魔になり、バッテリー式のものはユーザーが常にバッテリー切れを心配する必要があります。 また、ケーブルや電池を内蔵するためペンの大きさ、重さ、形状やバランスの最適化が困難であり、あらゆるユーザーが自由に気兼ねなく利用できるデバイスとは言えません。

EMR®テクノロジーの原理

EMR®テクノロジーによるペン入力デバイスは、非接触型でありながらペンに対してケーブルやバッテリーを使った電力供給をいっさい行ないません。
タブレット面にはペンの動きを検出する「センサーボード」が内蔵されます。センサーボード面に発生させた磁界の中で、共振回路を内蔵したペンに微弱なエネルギーが蓄えられます。このエネルギーによってペンの共振回路がセンサーボード面に磁気信号を返します。

この動作を高速で繰り返すことによりペンの座標や角度、操作状態(速さや筆圧など)の情報を検出します。 センサーボードの傍らで磁界の発生と受信を高速で切り替え、さまざまな情報を検出するユニットが「センサーユニット」です。 ワコムのペンタブレットデバイスは、この「センサーユニット」と「電子ペン」で構成されています。またセンサーユニットは「センサーボード」と「コントロールボード」で構成されています。


センサーボード

センサーボードは、縦横方向に多数のループコイルが配置された薄いガラスエポキシ、またはポリイミドやPETの様なフィルム形状をしています。 センサーボード背面には、マザーボードなど他の基盤や回路からのノイズを遮蔽するシールド板があります。それらを合わせたセンサーボード全体の厚みはわずか0.6mm。センサー面の広さによって若干の違いがありますが、対角2.2インチのセンサーでは厚みはたったの0.25mmしかありません。

コントロールボード

コントロールボードは、センサーボードに配置されたループコイルのひとつを選択して交流電流を流します。これによりループコイルから磁界が発生します(励磁)。 この磁界の中通過すると電子ペンの共振回路にエネルギーが蓄えられます。

電子ペンにエネルギーが貯まると、コントロールボードはループコイルに電流を流すのを止め、ループコイルを受信回路に接続します。
すると今度は、共振回路の自由振動により、電子ペンに蓄えられたエネルギーがペン先のコイルからセンサーボードへと送り返されます。エネルギーはセンサーボードによって受信され、カスタムLSIの受信回路を経由してA/D変換され、情報として検出されます。


コントロールボードはセンサーボード上のループコイルをスキャンして、ペンの位置をおおまかに検出します。その後、電子ペンの近くにある複数のループコイルをスキャンし、検出信号を計算処理する事で、ペンの座標値を精度よく算出します。
EMR®テクノロジーでは、電子ペンがセンサーボード表面にタッチしていなくても座標を検出する事が可能です。センサー面から少し離れた空中をペンが漂うようなオペレーションも検出可能なのです。 一方、ペン以外のもの、たとえば手でうっかりセンサー表面にタッチしてしまった場合でも、誤った座標値を入力してしまう事がありません。


カスタムLSI

コントロールボードにはカスタムLSI(W8000シリーズ)が搭載されています。このLSIは、従来型のコントロールCPUが受け持っていた大量のデジタル処理を高速で行なうDSP回路を内蔵し、なおかつ低消費電力で稼働するように設計されています。このカスタムLSIによって、コントロールボードのCPUの負荷は大幅に軽減され、性能の低い安価なCPUを使うことが可能になりました。


電子ペン

ワコムの電子ペンには電池を内蔵する必要がなく、回路もいたってシンプルなため、ペンを太くも細くも、重くも軽くも、自在にデザインすることが可能です。
また、ワコムの電子ペンが検知する筆圧は、標準用途向け256段階からプロフェッショナル分野で用いられる1024段階まで自在に設定が可能です。いずれもインダクタンスの変化を利用するタイプとキャパシタンスを変化させるタイプの電子ペンがあります。
これらの技術によって、ペンをより細くしてPDA等の匡体に納めることができるようにデザインしたり、持ちやすいグリップ形状やウェイトバランスに仕上げたり、イレイサー(消しゴム)機能を追加するなど、さまざまな要求に応える電子ペン製品を作ることができるのです。


この他、LCD(液晶ディスプレイ)にペン入力センサーを組み込む場合、バックライトやDC-DCコンバーターのトランスから発生する磁界ノイズを防いで、電子ペンの動作に影響を与えないようにしなければなりません。
ワコム・ペナブルテクノロジー製品では、部品の配置を変更したり、センサーボードや電子ペンに影響しない周波数に部品を調整したり、部品を厳重にシールドするなどして磁界ノイズを低減しています。


また、LCD周辺の金属フレームが磁界に影響を与え、センサーボードの端部分で「座標ずれ」を起こすといった場合でも、コントロールボードに記憶している補正データを変更することで座標の精度を保ちます。